
地方に住んでいると、出会いがない。マジでない。
職場は既婚者だらけ、友達は家庭持ち、飲みに行ってもいつものメンバー。寂しさが限界突破した俺は、彼女でもいい、気軽に会える相手でもいい、とにかく誰かと出会いたくてマッチングアプリのPairs(ペアーズ)を始めた。
結果、すぐ身バレして出会いより先に地元中へ俺の存在が拡散された。
ここではその時の体験談を書いていく。
地方の出会いのなさは異常
地方で独身をやっていると、生活が完全に固定される。
平日は職場と家の往復。
休日はスーパー、ドラッグストア、たまにイオン。
夜に飲みに行っても、いるのはいつもの友達。
しかも大半が結婚していて、話題は子ども、住宅ローン、車。
俺だけが時間停止している。
彼女がほしい。
いや、正直に言うと、彼女じゃなくてもいい。
誰かと飯に行きたい。
しょうもないLINEを送りたい。
休日に「何してる?」と聞ける相手がほしい。
なんならワンチャンセフレがほしい。
この欲望、別に悪くないだろ。人間として普通だろ。
でも地方では、その普通がめちゃくちゃ難しい。
職場で探すのは無理。
友達の紹介も枯れている。
飲み屋で出会うなんて、ドラマの中の話。
現実は、隣の席のおじさんが焼き鳥の串を数えているだけである。
そんなある夜、俺は布団の中でスマホを握りしめて思った。
もうペアーズしかない。
寂しさに負けてペアーズ登録
ペアーズ(Pairs)は前から知っていた。
マッチングアプリの王道。恋活のメイン道路。出会い界の国道36号線みたいな存在。
俺は登録した。
プロフィールを作る時点で、なぜかめちゃくちゃ真剣になった。
趣味、休日の過ごし方、好きな食べ物、性格。
履歴書より丁寧に書いた。
休日はドライブや映画を楽しんでいます。カフェでのんびりするのも好きです。
嘘ではない。
ただ、かなり整えている。
本当は休日の半分くらい、昼まで寝てスマホ見て、夕方にコンビニ行って終わる。
カフェでのんびりどころか、部屋着のまま冷凍チャーハンを食っている。
でも、そんなこと書けるわけがない。
「休日は気絶しています」
「趣味はYouTubeを見ながら無意識に菓子を食うことです」
誰がいいねするんだ。
俺でもしない。
だから少しだけ、まともな男に見えるように整えた。
問題は写真だった。
顔写真をキメすぎた男
写真がない。
マッチングアプリで使える写真が、マジで一枚もない。
飲み会で顔が赤い写真。
作業着で半目の写真。
ラーメンを前にして謎のドヤ顔をしている写真。
全部ダメ。人間としては存在しているが、恋愛市場には出せない。
仕方なく、自撮りした。
場所は近所の公園。
夕方、誰もいないタイミングを狙ってスマホを構える。
顎を引く。目線を少し外す。髪を整える。背景に木を入れる。
完全にキメた。
もう自分でも分かる。
これはキメている。
キメすぎている。
普段の俺を知っている人が見たら、腹抱えて笑うレベル。
「誰だよお前」と言われても仕方ない。
でも、写真としては悪くなかった。
奇跡の一枚だった。
通常の俺が100だとしたら、写真の俺は128くらいある。盛りすぎ。もはや別レート。
俺はその写真をメインに設定した。
この時の俺はまだ知らない。
地方で顔写真を出すということは、町内の掲示板に「俺、出会い探してます」と貼るのとほぼ同じだということを。
知り合いの女に即バレ
登録して数時間。
思ったより反応があった。
いいねも少し来た。メッセージも始まった。
俺は浮かれた。
やっぱ写真大事だな。
あの公園での努力は無駄じゃなかった。犬の散歩中のおばさんに見られながら撮った甲斐があった。
しかし、平和は翌日に終わった。
昼休み、LINEが来た。
送り主は、地元の知り合いの女。
高校の同級生の友達で、何度か飲み会で会ったことがある程度の相手。
本文はこれ。
ペアーズやってる?笑
終わった。
この「笑」が怖い。
たった一文字なのに、俺の尊厳を焼却炉に投げ込む火力がある。
俺はスマホを見たまま固まった。
知らないフリはできない。
顔写真を出している。しかも、あの夕方の公園キメ顔である。逃げ場ゼロ。証拠品として強すぎる。
俺は震えながら返信した。
まあ、ちょっとだけ
ちょっとだけって何だ。
登録してプロフィール書いて写真まで載せてる時点で、かなりやっている。
すぐ返信が来た。
写真めっちゃキメてて笑った
やめろ。
そこだけは触るな。
俺が一番分かっている。
あの写真がキメていることは、俺が一番分かっている。
撮った瞬間から、俺自身が少し恥ずかしかった。
噂が同級生に広がる地獄
最初はその女だけにバレたと思っていた。
甘かった。
地方の情報網を完全になめていた。
その日の夜、別の同級生からLINEが来た。
お前ペアーズやってんの?
翌日、また別の友達から来た。
プロフィール見たぞ。何あのモデル顔
やめろ。
見るな。
そしてモデル顔ではない。夕方の公園で孤独に頑張った顔だ。
どうやら、最初に見つけた知り合いの女が、同級生周辺に話したらしい。
悪気はないのかもしれない。
ただのネタだったのかもしれない。
でも食らった側からすれば公開処刑である。
地方は狭い。
本当に狭い。
誰かの知り合いは、だいたい誰かの知り合い。
知り合いの知り合いをたどると、最終的に中学の体育館に戻る。
しかも、みんな地元の話題に飢えている。
新しい店ができた。
あの店が潰れた。
誰々が結婚した。
誰々がペアーズでキメ顔していた。
全部同じニュース棚に並ぶ。
俺はその棚に置かれた。
完全に地元ニュースになった。
地方でマッチングアプリを使う時の教訓
正直、身バレはかなりきつかった。
ペアーズを使っていることよりも、「寂しくて出会いを探している自分」を見られた気がして恥ずかしかった。
彼女がほしい。
誰かと会いたい。
一人が寂しい。
それ自体は普通のことなのに、知り合いに見られると急に裸にされたみたいになる。
しかもプロフィール文がつらい。
休日はドライブや映画を楽しんでいます。
知らない女性に読まれるならいい。
でも同級生に読まれると終わる。
「お前この前、休日ずっと家にいたろ」
そうなる。
盛った自分を、地元の知り合いが容赦なく現実に戻してくる。
地方の友人はプロフィール補正を剥がす業者である。
結局、俺は写真を変えた。
あの公園キメ顔は封印。
もっと自然な写真にした。
プロフィールも少し現実寄りにした。
休日は車で出かける日もありますが、家でゆっくりするのも好きです。
これでいい。
人間、少しくらいだらしない方が信用できる。
今回学んだことはシンプルだ。
地方でマッチングアプリを使うなら、身バレは普通にある。
顔写真を出すなら覚悟しろ。
盛りすぎた写真は、見つかった時に死ぬほどいじられる。
プロフィールをかっこつけすぎると、同級生に一生ネタにされる。
でも、アプリ自体は悪くない。
地方で出会いがないのは本当だ。
寂しいのも本当だ。
誰かとつながりたいと思うのも普通だ。
恥ずかしいのは、ペアーズを使うことじゃない。
寂しい気持ちを隠そうとして、夕方の公園で謎に遠くを見つめるキメ顔写真を撮ってしまうことだ。
あれだけは本当にやめた方がいい。
地方は狭い。
そして同級生のスクショ共有は、想像の3倍速い。
【20歳・岩手県・会社員の身バレ体験談】
・使ったマッチングアプリ:ペアーズ


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